昨晩はおそらく9時半頃には寝てしまったので、今朝は元気に7時起床。トイレに立ったら、あやぴーも起きてきてしまった。8時ちょっと前まで二人でお人形さんごっこをして過ごす。窓から外を見ると軽くだが雪が降っていた。天気予報では午後から降るという話だったが、もしかしたら早まったのかもしれない。栗がようやく起きたので、三人で朝食を取りに食堂に向かった。その前にホテルの玄関から外に出てみた。寒い!あまりにも寒いので、私はあやぴーを連れて即座にホテルの中に戻り、外で雪と戯れている栗をしばし眺めていた。
朝食は
・杏のネクター
・温かい飲み物(栗とあやぴーはココア、私はカフェオレをお願いした。)
・トーストとパウンドケーキ(バター、ジャム、はちみつ付き)
・フロマージュ・ブラン
蜂蜜を入れて食べたフロマージュ・ブランがとてもおいしかった。普段、朝はシリアルに牛乳をかけてササッと済ましているので、外の雪を見ながらのんびりと頂く朝食はことのほかおいしく感じられた。
ホテルの給仕係の女の子は、「今日は寒くなりますよー。雪、あれは雪が降っているのではなく、風で舞っているだけなんですよ。」と言っていた。確かによく見ると道路の白い部分が時々変わっている。外一面にちらちらする雪を見るのは数年ぶりだったので、なんだかうれしくなった。
あやぴーに車酔い対策のシロップを飲ませ、予定通り10時ごろに家を出た。高速は平日にもかかわらず車が多い。まだパリも南仏もバカンス中だからだろうか。イタリア国境を越えて最初の街VENTIMIGLIA(ヴェンチミリア)で高速をおり、後はひたすら国道を北上というプランなのだが、VENTIMIGLIAの出口が大混雑。普段3分しかかからないところを30分以上待つはめになってしまった。今日は金曜日。大きな市場がある日だということをすっかり忘れていた私達。バカンス中の市場はそれはそれは混むものなのだ。料金所の後もVENTIMIGLIAに行く道は相変わらず渋滞していたが、私達は山に行くので逆方向。いきなり道がガラガラになってようやくホッとした。
目的地のCASTERINO(カステリーノ)まで、まずはST. DALMAS DE TENDE(サン・ダルマス・ドゥ・タンドゥ)を目指す。この辺りは元々イタリア領だったのを戦争のどさくさに紛れてフランスがこっそり盗んだと言われている場所。高速を過ぎてしばらくはイタリア領を走り、そしてある時突然「FRANCE」という看板が見えてフランス国境になる。もちろん、イタリアを通らずに行く方法もあるが、我が家ではあやぴーの車酔いが激しいので、事前に地図を見て、なるべくまっすぐな道を選ぶようにしている。そのため、面倒くさそうではあるが、一旦イタリアに出る方法を取ったのだ。ここ数年で山沿いの道にどんどんトンネルが開通しているおかげで、VENTIMIGLIAからの道も比較的まっすぐ。ST. DALMAS DE TENDEまであっという間でびっくりした。
しかしホテルがあるのはCASTERINOという村。ST. DALMASから14キロのところにある。山道を登って行くとカーブが続き、あやぴーが「おなかが痛い。」と言い始めた。戻しそうな時には「のどが痛い。」と言うし、顔もそれほど青くないので大丈夫そうではあったが、念のため時々車を止まらせつつ、坂道をゆっくり上がっていった。一瞬CASTERINOを宿泊地に選んだことを後悔したが、もう遅い。周りの景色を説明したり、歌を歌ったりして、なるべくあやぴーの気が紛れるように努めた。
標高750mのST. DALMASには雪がなかったが、山道を上って行くうち、だんだんと周り一面が雪だらけになった。しかも見覚えのある茶色い雪がある。アフリカからの砂が混ざった茶色い雨がニースで降った日、山では茶色い雪が降ったと聞いたことを思い出した。まだ残ってたんだ!それに、雪だけじゃない、つららもある。寒いところに来たんだな~とワクワクしてきた。
くねくね道がようやく終わり、あとは比較的まっすぐな道を上り続けると、標高1550mに位置するCASTERINOに到着した。ほぼ予定時間通りの12時15分に到着。VENTIMIGLIAでの渋滞を考えると悪くない。CASTERINOは小さな村なので、すぐに予約していたホテルが見つかった。この辺りのホテルは何故か改装中でお休みのところが多く、トイレとお風呂がある部屋がまだ空いているというのは、この1つ星のホテルだけだった。しかもお風呂ではなくてシャワー。多少不安を感じながらも、1泊だからいいかと決めた。どうしても雪山に行きたかったから。
栗が一人で木造の建物の中に入って行った。早くも鍵がもらえたらしいので、まずは部屋に荷物を置き、そしてホテルのレストランで昼食を取ることにした。部屋はもちろんシンプルだったが思っていたより悪くなく、テレビもついていた。暖房がガンガンに入っていたので上着を脱いでレストランに向かった。
あやぴーにはお子様メニューを変形して、ハム、トマトサラダ、じゃがいものソテーを一皿に盛ってもらうことにした。栗はランチコース。私はアラカルトで。前菜は栗が自家製のパテとサラダ、私はベルギーチコリとくるみと生ハムのサラダ。前菜からすごいボリューム。しかもおいしい。これだけで十分な感じすらする。メインは栗がステーキのペッパーソース。付け合せはじゃがいものソテーに野菜の蒸し煮。私はタルティフレットという山料理を頼んだ。じゃがいもと玉ねぎとベーコンのホワイトソースグラタンの上に、ルブローションというチーズがドロリと上にかかったもの。とてもおいしかったのだが、前菜で既におなかいっぱいだったので、半分ほど残してしまった。残念。あやぴーも私もデザートはパス。栗のコースにはデザートが付いているが、彼もおなかいっぱいらしい。色々ある中から、はちみつとジンジャー味のプリンを選んだ。一口もらったらなかなか甘さ控え目であっさりしている。あやぴーが気に入って、ほとんど一人で平らげてしまったようだ。
午後は雪山を散歩。しかし、ホテルの人に教えてもらった道は雪が多すぎた(涙)。50cmほど積もっているので、靴がズボズボ雪の中に入ってしまい、あやぴー大泣き。私もこの状態で散歩を続けるのは嫌。一旦ホテルに戻り、あやぴーと私はスキーウェアと雪用のブーツに着替えてから、再出発した。(あやぴーは雪用のブーツが小さくなってしまったのでビニール長靴!笑)。違う方向をぶらぶら歩いていたら、偶然散策コースを発見したので、その黄色い目印に従って山道を上ることにした。
青い空、白い雪、モミの木が風に吹かれてサワサワとたてる音、澄み切った空気、、、美しい自然に囲まれていると、日常で疲れていた体が、そしてくすんでいた心が、静かに洗われていくかのようだ。やっぱり来て良かった。
あやぴーは雪の塊を拾ったり、「すべり台」と言いながら斜面を滑ってみたり、「のどが渇いたからお水ちょうだい。」とぐずってみたり、おとなしくしていることは一秒たりともなかったが、それでも私達のペースで山道を上ってくれた。時計を見ると4時15分。1時間半歩いたことになる。もう少し先に行きたい気もしたが、この先を進むには、一歩踏み外すと下に落ちてしまいそうな場所を通らなければならない。あやぴーを連れてではまず無理そう。私が一人で挑戦してみたが、ちょっと恐かったので、そこまでして進まなくても良いかと思い、引き返すことにした。
Uターンをして元来た道を歩く。帰りはひたすら下るだけなので、驚くほど簡単に到着した。川べりに下りて水を触ってみたら、しびれるほど冷たい。しかし、そんな中でもマスが生息している。あやぴーは魚を見つけて喜んだ。
部屋に戻って休憩。あやぴーはテレビを見て、栗と私はホテルの本棚から持ってきた雑誌を読んだ。栗がいつのまにか寝てしまったので、あやぴーと私は先に二人でシャワーを浴びることにした。
夕飯の時間になったのでレストランに向かう。宿泊者の夕飯は既にコースが決まっているらしい。前菜は野菜のスープ、メインは仔牛のポピエット、つけあわせはじゃがいものソテーに野菜の蒸し煮。寒い夜に野菜たっぷりのスープがうれしい。ポピエットはベーコンで巻いたハンバーグのようで、とてもおいしく、あやぴーもたくさん食べていた。昼のようにどっさりした料理だったらどうしようかと密かに心配していたのだが、重くないので完食。家庭料理のような素朴な味なのも良かった。デザートはミカンとサバイヨンのグラタン。グラタンと聞いて、温かいものを想像していたのだが、口に入れたら冷たくてびっくり。甘いけどさわやか。初めて見たデザートでうれしかった。「部屋に戻りたい。」とぐずるあやぴーをなだめながら、食後に私はカフェイン抜きのコーヒーをもらい、栗はハーブ入りの食後酒を飲んだ。
部屋に戻ったらバタンキュー。あやぴーは最初簡易ベッドで一人で寝ると張り切っていたのだが、いざベッドに入ってみると、急に寂しくなってしまったらしく、「ママと寝たい!」と大泣き。結局、旅行中の定番、親子三人川の字で眠ることになった。
一旦部屋に戻り、スキーウェアに着替えてから、また外に出た。寒いけど気持ちが良い!昨日水を触った川べりまで歩いて行った。ますはもういなかった。それにしてもすごい雪。子供の頃によくやったように、口を大きく開いて雪を食べてみた。なるべく大きな塊を狙う。ジャンプして雪をつかまえた時は最高にうれしい。あやぴーもそれを見て、「わたしも。わたしも。」と雪を食べようと頑張っていた。楽しいひとときではだったが、どうやら今日は山歩きは無理だなぁ、、、と言うことがよくわかった。
あやぴーにテレビを見せながら、朝食を消化させる時間を取った。車酔い対策である。栗と私ものんびりしつつ、今日の予定を組みなおすことにした。本当は、午前中もここで山歩きをして、お昼ご飯をホテルで食べてから山を下りようと話していたのだが、この雪の中、あやぴーを連れて散策はできない。それに雪が本格的に降り始めたら困る。残念ながら朝一番で山を下りてしまうことにした。
車のエンジンをかける。ブルッ、ブルッ、・・・。ブルッ、ブルッ、・・・。エンジンがかからない・・(汗)。古い車だから寒さにやられてしまったのかと心配になりながら、少しの間パーキングでエンジンをふかした。ようやく出発するも、やっぱり調子が悪い。車がカックンカックンするせいで、あやぴーが酔ってしまわないようにと、外を見ながらつららを探したり、歌を歌ったりして、あやぴーの気を紛らわせることに私は集中した。栗はその間ずっと難しい顔で運転していた。
せっかくだから近くの村を散策していく?と立ち寄ったSAORGE(サオ―ジュ)。村までの上り道でもずっと車の様子がおかしい。村の入り口のパーキングに車を停めて、栗が車のボンネットを開けた。「TOMO、ちょっとエンジンかけてみて。」と言われたので、運転席に座ってエンジンをかけた。しかし、一旦エンジンがかかっても、アクセルを外すとエンストしてしまう。栗は手を真っ黒にしてあちこち触っていたが、いくら奮闘しても状態はあまり改善されなかった。
「仕方ない。いい加減に散策しようか。待たせて悪かったね。」と栗が出かける準備を始めたが、どうも浮かない顔をしている。心配なまま山を歩いても楽しくないだろうし、もし夕方になって車が動かなくなってしまっても困る。私は、山には寄らず、このまま帰ることを提案した。栗はしばらく考えた後、「そうしてもらっても構わないかな。ちょっと心配だから。」と私に謝った。「謝る必要なんかないよー。帰れなくなったら困るのは私も同じなんだから。」と笑った。
不調な車も、道を下る分には問題がないらしい。しかも、段々調子が良くなってきた様子。栗は手ごたえを感じてうれしそうにしていた。
フランスを離れ、イタリアに入り、国境の街VENTIMIGLIAに到着した。パスタが切れていたので、スーパーに寄って食材調達。色々な種類のパスタや、トマト缶、バルサミコ酢などを買った。いつも思うことだが、フランスに比べるとずっと安い。あやぴーが「おなかが空いた!」と言い始めたので、スーパーの出口にあったカフェに座り、ピザやフォッカッチャのサンドイッチなどを食べた。なんでもないカフェで食べるものですらおいしいって、イタリアはやっぱりすごい!カプチーノは1杯たったの1,10ユーロ。ニースでは最低2倍、普通3倍はする。「安かったねー。」「おいしかったねー。」とホクホクしながら車に戻った。心配していた高速では、無事ニースまで何の問題もなく済んだ。
家に着いた時、まだ午後2時にもなっていなくて、とても不思議な感じがした。でも、目を閉じると昨日見た雪山がくっきりと脳裏に浮かぶ。その美しい景色を思い出して、とても幸せな気分になった。
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宿泊したホテル
Les Melezes
http://www.lesmelezes.fr/
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